7月3日に行われた内閣府と防衛省に対する土地規制法第8回ヒアリングの報告を廃止アクション事務局の仲松正人弁護士がまとめてくれました。ヒアリングの後行った追加質問への回答も踏まえて全体を網羅しています。報告は全18ページに及ぶ大部なものですので、以下10項目のハイライトを参考にしてください。
以下の文書は、ダウンロード(文書名をクリック)してご覧いただけます。
■ 仲松報告本文「7月3日第8回土地規制法に関する内閣府ヒアリング(学習会)結果」
■「7月3日ヒアリング質問集内閣府提出版」
■「第8回ヒアリング後日回答要請(内閣府、防衛省宛て)」
■「内閣府「ご回答」 第8回ヒアリング追加質問」
■「防衛省提出資料 第8回ヒアリング追加質問回答」
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第8回ヒアリング結果報告ハイライト10項目
1.区域指定について
(1)「タイヨーゴルフコース」と「ロウワー・プラザ」の特別注視区域指定について 仲松報告P1
【米軍の民間利用施設周辺を特別注視区域指定】
内閣府はゴルフコースは嘉手納弾薬庫の防空機能と一体、ロウワー・プラザ(緑地広場)はキャンプ瑞慶覧の司令部機能と一体だからその周辺を特別注視区域に指定したと回答。一方「米軍の実際の具体的運用は内閣府としては承知していない」とのこと。軍の運用を承知していないのに特定重要施設と一体とし特別注視区域に指定したのであれば米軍の意向を黙諾したことになるでしょう。
(3) 自衛隊施設と米軍施設の扱いの違いについて 仲松報告P2
【米軍施設は自衛隊の施設の区域指定基準を適応しない】
自衛隊の官舎は区域指定の対象となっていませんが、嘉手納基地や横田基地などでは米軍住宅区域も区域指定の対象となっています。この違いは何かとの質問に対して、自衛隊施設は法と基本方針に基づき指定するが米軍施設は米軍と協議して指定したと回答。上記1.
(1)同様米軍の言いなりの姿勢が見られます。
(4) 基地の加重な負担に苦しむ住民にさらなる負担を負わせることについて 仲松報告P2
【特別注視区域指定による負の影響の認識についてと今後の注視の必要】
特別注視区域に指定されることにより、地価や自治体歳入への影響が懸念されるとして指定見直しのや補償の要望が自治体から寄せられています。これに対し、「必要最小限度のものであり、これらの区域内の土地等の所有者等が受忍しなければならない程度のもの」であるとして補償はしないと回答。一方「地価へのマイナスの影響」については国土交通省とも協議しているとのこと。実際にマイナスの影響が出た場合の政府の対応を注視する必要があります。
2.情報収集について
(6)区域指定対象施設の所轄省庁について 仲松報告P6
【現地・現況調査に警察は関わるか】
現地・現況踏査で情報提供等の協力を求める区域指定対象施設の所轄省庁について、これらの施設の所管省庁に警察庁や警察は入るかとの質問に対して、「警察官がその全部又は一部を担うことはなく、施設を所管していない警察庁に協力を求めることは想定していない」と明言しました。実際にそのようになるのか、運用の監視が必要です。
(7)法8条にもとづく報告の徴収について 仲松報告P7
【土地等利用者の「その他関係者」の把握方法】
法第8条に基づく土地等の利用者その他の関係者に対する報告の徴収にいて、「その他関係者」のうち「友人・知人」の把握方法を聞いたところ、「当該(土地利用者)本人に確認して、聞いた上で把握する。公簿等で把握するものとは想定していない」と回答しました。但し「本人に確認した上で」と断ったうえで「他の情報源からも」把握すことはあるとしました。友人・知人が「その他の関係者」になるかどうかは利用者本人の返答次第ということですので、調査に対してどのように臨むのかが大切です。
(10) 思想・信条の調査について 仲松報告P10
【注視区域内の宿泊施設への調査、「平穏ではない」基地反対運動への扱い】
注視区域内で基地反対運動に参加する人たちの利用する宿泊施設について、その運営は「注視区域内の土地等の利用」にあたる、従って調査対象となると回答しました。また該当する宿泊施設の利用者の調査については、基地反対運動等が平穏に行われていれば機能阻害行為にあたらないので基地反対運動等に参加する者を特定する調査はしない、としました。一方で当該施設が「何らかの機能阻害行為の拠点として利用されている場合」は宿泊者の情報も収集する可能性がある、などと答えました。
3.機能阻害行為について 仲松報告P13
(4) 命令の公正性・適性性の担保について
【勧告への不服の表明の扱い】
機能阻害行為の中止命令に先だってなされる勧告に対する申立てについて、行政府不服審査法上の不服審査の対象にはならないことを確認しました。また勧告を受けた者からの不服は内閣府が書面又は口頭により受けることになるとの回答もなされました。なお、法9条2項の命令は行政不服審査法2条により不服審査の対象となります。
(5) 「事前の説明」における機能阻害行為の明示について 仲松報告P14
【事前の説明は書面で行うか、機能阻害行為の明示はあるか】
勧告に先だってなされる「事前の説明」について、回答では事前説明のやりかたを明確に定めたものはないとしたうえで、相手方となる土地等の利用者の意向を踏まえながら基本的には書面で行うことを想定しているとしました。相手が理解するためには書面で行うべきと指摘したところ、説明責任があり何が機能阻害行為であるのかはしっかり説明しなければならないので書面で説明することを想定している、としました。なお、その書面がその人に届くことの確認はしっかりやりたいとのことです。
(7) 自治体への勧告・命令について 仲松報告P15
【自治体が提供した場所での阻害行為に対する自治体への勧告】
自治体は団体として勧告・命令の対象となるかの質問に対して回答では、自治体は事前の説明で是正されると考えるが、是正されず正当な理由がなく勧告に応じない場合は、法文上は排除されないと答えました。例えば、宜野湾市の公園で機能阻害行為があった場合、その土地を提供したことで宜野湾市も勧告の対象となりうるとしました。なお、「人間の鎖」は機能阻害行為には該当しないと考えるとの答えがありました。
4.その他
(2)コールセンターについて 仲松報告P16
【コールセンターへの阻害行為の通報(密告)を端緒とした調査の開始、自治体が個人情報の提供を拒んだ場合】
コールセンターに阻害行為に関する「信ぴょう性がある」情報の提供があれば、それを端緒に調査を行うとしました。すなわちコールセンターには阻害行為の通報・密告を収集する機能があることになります。また、自治体が「個人の情報だから」と情報提供しない場合はどうするのかとの質問には、調査は内閣府が一元的に行うものであることを強調し、関係行政機関は情報提供に応じてほしいが、強制するものではない、としました。
その他以下の回答についても注意が必要です。
質問2 情報収集について (5) 内閣府の運用体制について 仲松報告P6
同(7) 法8条にもとづく報告の徴収について 仲松報告P7
同(8) 機能阻害行為を判断する情報について 仲松報告P8
同(9) 届け出について 仲松報告P9