「重要土地調査規制法案」反対緊急声明事務局
6月16日の未明に、土地規制法案が拙速審議の末に参議院で可決成立しました。
この法案は違反行為は刑罰に直結するのに、注視区域、重要施設、監視の対象者、調査される事項の範囲、調査の主体、阻害行為などあらゆる法概念があいまいで、それが憲法と国際人権規約に反する根本要因でした。
14日に実施された参考人の質疑では、与党が推薦した、立法の根拠とされた有識者会議の委員でもあった吉原祥子氏からも、「条文案を読むだけでは様々な憶測が広がる恐れがあることを痛感した。しっかりと議論をしていかなければ、国民の様々な解釈を呼んでしまう」と懸念が示されました。
また、土地規制法案は基地や原発周辺の土地の外国資本による取得を問題として提案されましたが、政府からは安全保障上の理由からとして正確な立法事実は示されず、法案の必要性にも深刻な疑問があります。さらに、法案は外国資本による土地の取得そのものを禁止するものではなく、被害を受けている住民に関する個人情報を収集し監視し、住民を敵視するだけでなく、住民間に不信の構造をつくりだそうとするところに本質があります。
そして、結果として内閣総理大臣にすべての情報を集め、独裁化をすすめ、住民を恫喝して黙らせようとする法案なのです。
この法案の第一ターゲットはあきらかに基地の集中する沖縄です。そして、第二ターゲットは首都圏を含む全国の基地県と原発立地県です。しかし、それだけではありません。第三ターゲットは重要インフラ施設の周辺、すなわち全国に拡大できるのです。ですから、この法案は基地や原発に反対している人たちだけの問題ではありません。
国会終盤には、この法案が沖縄や基地・原発周辺の問題にとどまらず、日本全国に広がる都市部にも大きな影響を与えることなども共有できたと思います。最終的に15万件を超えるツイッターデモが実現できたことは今後の活動の重要な礎になりました。
これだけの反対の声があがったこと、政府・自公与党がこれを無視して法案成立を強行したこと、立憲・共産・社民はこれに反対したこと、維新・国民民主はこれに手を貸したことを、歴史的事実として記憶し、心に刻みたいと思います。
戦前の治安維持法の例を見ても、悪法が、悪法として恣意的に適用されるようになるには、時間がかかります。ですから、この悪法が濫用されぬよう、これからも政府への監視を続けていくことが、この法案に反対した私たちの責任となりました。悪法の恫喝に負けないで、言うべきことを言い続けることこそが、最大の抵抗です。そして、次の衆議院選挙で、政権交代を実現させ、この法律を廃止させましょう。この法案に反対の声を上げてくださった多くの皆さんに心から感謝し、引き続き共に歩みたいと思います。
2021年6月16日