2月22日、土地規制法に関する政府ヒアリングと立憲野党・会派に廃止の取り組みを
求める要請式を参議院会館で開催しました。二つのイベントを通して記録したYouTube
を共有します。
「先行施行まで4カ月 見えてきた土地規制法の狙い」
https://www.youtube.com/watch?v=uUZJwNIzZQQ
政府ヒアリングでのハイライトは、政府内部文書で明らかになった「機能阻害行為」の例
示案「高所からの継続的な監視・盗聴など」について、国境離島の「離島機能」の例示
の説明に記されていた「コミュニティの存立を脅かされる行為」及び「区域の全部を(注
視区域)指定することも想定される」との記述について、「約200カ所を特別注視区域
に指定する方向で検討に入った」との新聞報道についてでした。
重要土地等調査法施行準備室の回答は「まだ検討中」というものがほとんどでしたが、
だからといってヒアリングが無駄なわけではありません。内部文書で国会で明らかにされな
かった具体的な「検討」事項に鋭い突っ込みと反対表明をすることで基本方針等の政府
案にブレーキをかけることができます。前回のヒアリングで基本方針のパブコメが、対象にし
ない、から対象にすることも検討していると変わったのも、ヒアリングでの働きかけによるとこ
ろが大きいと考えられます。
「約200か所を特別注視区域に指定する方向で検討」についての議論では、準備室か
ら「誤報」であるとの驚くべき発言が飛び出しました。検討していること自体が誤報なのか
手続き上「検討」しているとは言えないという意味なのかという突っ込みが入ります。新聞
報道を煙に巻くための意図的な発言と思われますが、「情報操作」に類する発言で市民
の側が追求すべきポイントになります。特別注視区域が200か所であれば注視区域は優
に1,000を超えるとも考えられます。国民監視国家の赤裸々な姿が立ち現れようとしてい
るのです。(全国の米軍施設・区域は131箇所、自衛隊施設・区域は2,378箇所)
立憲野党・会派への要請式には立憲民主党山崎誠議員、共産党の赤嶺政賢議員、
社民党の服部良一幹事長、沖縄の風の高良鉄美議員が参加し要請書を受け取ってい
ただきました。国民民主党、れいわ新選組、会派碧水会には別途お渡ししました。
主な発言は以下をご覧ください。廃止アクション事務局の杉原さんがツイッター用のメモを
作ってくれました。
政府内部資料、質問事項一覧、前回12月2日のヒアリング報告はこちら。
(政府内部資料中の条項番号が法の条項番号とずれているものもあります)
http://juyotochi-haian.org/2022/02/16/hearing_20220222/
【政府ヒアリング・要請式主な発言メモ】
◆重要な焦点は「基本方針案」をパブコメ対象にするかどうか。前回ヒアリン
グでは「実施も含め検討」としていたが、法施行準備室は今回も「引き続き検
討中」「前回から後退もしていない」と。早期に決断すべき。
◆「重要施設」への「機能阻害行為」に関し、法案説明資料には、①継続的な
高所からの監視・盗聴など と記載。
<海渡雄一弁護士>
「①は国会答弁で示されなかった。騒音訴訟で基地を監視し資料にするのも該
当の恐れ」
<準備室>
「①には阻害行為に当たるものもあると考えるが、すべからく該当とは考えない」
<青木初子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)>
「どこからPFOS(有害物質)が流れるか、どこから物が落ちてくるか、基地を
監視しないと分からない。”機能阻害行為”が明示されないと危険だ」
◆平岡秀夫さん(元法相・元衆院議員)
「法案説明資料の”機能阻害行為”の例示の②送電線、水道管等の破壊③坑道掘
削、施設地下への侵入・攻撃④銃器による攻撃、は犯罪行為で直ちに警察権が
行使されるもの。「中止を勧告し命令」などあり得ない」
※法案審議時も「現行法で対処可能」と議論された点。
◆馬奈木厳太郎弁護士
「内閣として出した法だ。いまだに「現行法で何が足りないか検討中」とはど
ういう事か。検討した結果、必要だから出したのではないか。不安や懸念はず
っと言われてきた。何が想定されているのか。こんな状態で今年施行するのか。
まじめに答えてほしい」
◆「法案説明資料には、”離島機能を阻害する行為”として「土地取得がコミュニ
ティの存立を脅かす」とあるが、どのようなものを想定しているか?」
<準備室>
「内外情勢、地域の特性に応じて判断」
<青木初子さん(一坪反戦関東ブロック)>
「基地こそがコミュニティをバラバラにしている。とんでもない!」
◆「2月6日に共同と読売が、全国200ヵ所を『特別注視区域』に指定する方向で
検討に入った」と報じたが?
<準備室>
「誤報だと思う」
<萩尾弁護士>
「抗議したか」
<準備室>
「ケースバイケースの判断だ」
<海渡弁護士>
「誤報と公式に言うべきだ」
※準備室は曖昧にごまかした。
◆海渡雄一弁護士
「法案説明資料で”機能阻害行為”に例示した「継続的な高所からの監視・盗聴」
は決まっているわけではないと分かった。200ヵ所を特別注視区域に指定する
検討について、準備室は「誤報」と一応言ったが予断を許さない。かなり大き
い事を考えている。害の少ない法に抑え込むのも重要だ」
◆「土地規制法」廃止法案の提出などを求める要請書が、立憲野党・会派の代表に
しっかりと手渡されました!
◆青木初子さん(一坪反戦地主会関東ブロック)
「機能阻害行為とは何か、中身が全く分からない。沖縄の運動を潰し、戦場に
していくものだ。自衛隊が米海兵隊と一緒に訓練し基地などを共同使用してい
く。戦争がまじかに見えてくる中での土地規制法だ。廃止ないしは施行延期に
向け、一緒に取り組みたい」
◆山崎誠・立憲民主党政調副会長
「皆さんの運動を規制しようとの意図は明らか。秘密保護法、共謀罪法、安保
法制と一連の物。土地規制法廃止法案を出したいし、通していかなければ。そ
の為には参院選から新たな闘いを。信頼できる政治・政府を作らないと日本は
“衰退国家”状態だ。全力でお預かりし闘う」
◆服部良一・社会民主党幹事長(元衆院議員)
「秘密保護法、共謀罪法、安保法制に次ぐ4つ目の違憲立法だ。”台湾有事”が
言われる中、海兵隊との共同作戦計画も漏れ聞こえる。40の島に海兵隊が遊撃
的に配置されると。”離島防衛”対策としてこの法が意図され機能するのを危惧
する。廃止へ力を合わせたい」
◆赤嶺政賢・日本共産党衆院議員
「”継続的な高所からの監視”と言うと沖縄の金武町伊芸区に近いレンジ4(複
合射撃訓練施設)から集落に弾が飛んできて犠牲者が出たのを思い起こす。住
民は監視塔を作り闘った。土地規制法を考えついた人は基地と住民の関係が何
も分からない。なぜ被害者が監視されるのか」
◆高良鉄美沖縄の風幹事長・参院議員
「憲法29条で財産権が保障されたのは、戦前に補償もなく軍事的に収用された
から」「自衛隊基地は土地収用法では取れない。土地規制法は、これまで出来
なかったことを土地収用法で出来るようにしている。憲法違反の問題が大きい。
伊波洋一代表と共に頑張っていく」
◆近藤昭一・立憲民主党衆院議員
「私も立憲民主党議員として、また超党派の「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」
の一員として、宮古島等や辺野古で意見交換し活動してきた。国が住民自治、
民主主義、法治主義を無視し、監視を強め、様々な事を強行している。更に強
化するのが土地規制法だ。連帯し頑張る」
◆馬奈木厳太郎弁護士
「準備室は『検討中』と言って何とかしのごうとした印象。目的等が曖昧で、
憲法に則っておらず、市民の権利を制限する性格が見えてきた。遅まきながら
各地の弁護士会も勉強会をしている。一人でも多くの人に知ってもらう事なし
に土地規制法廃止はあり得ない。国会外でも広げよう」
◆阿部功志・茨城県東海村議(自治体議員団)
「6件の議会請願中、「広域避難計画を早く作れ」が採択、「慎重に作れ」は
不採択。「再稼働しろ」が通り、「するな」は不採択。手を挙げても指さない
で委員会が進む。話し合うと私たちに正当性があるから。土地規制法でさらに
村民は萎縮し、民主主義破壊に」
◆清水早子さん(宮古島住民連絡会)
「宮古島駐屯地は特別注視区域に指定される。施行されると土地を自由に売買
できなくなり、利用する私たちも個人情報を調査される。全く理不尽な、憲法
違反の弾圧の為の悪法だ。国策に異議申し立てする者を動けなくする。戦争に
向かって琉球弧を軍事要塞化する為だ」
以上
【資料】(ダウンロード)
◆フライヤー(PDF 367KB)
◆市民と国会議員共同ヒアリング質問事項(2022年2月14日現在) (PDF 227KB)