第5回政府ヒアリング報告 10月27日に開催された政府担当者への市民と国会議員共同ヒアリングの報告を 掲載します。 パブリックコメントで寄せられた2,760件もの市民の意見が無視されたことは 前回、前々回の報告でも触れましたが、今回のヒアリングでも市民側の質問・意 見に対してほぼゼロ回答。民主的な手続きと説明責任を放棄するに等しい対応 であったことをここにしっかりと記録に残したいと思います。市民の権利は法の内容 において不当に侵害されるだけではなく、その運用においても危険に晒される恐れ があることに注意が必要です。 【⇒報告書のダウンロード】 (PDF,260KB) ----------------------------------------------------------------------- <報告> 2022.10.27 政府担当者への市民と議員の共同ヒアリング 土地規制法 全面施行!~「区域指定」の中止を求める~ ★10 月 27 日、第5回となる市民・国会議員共同ヒアリングを行った。 政府担当者としては、内閣府政策統括官(重要土地担当)付参事官補佐の藤代浩太氏、白 須真理氏、三井賢氏、浦田治彦氏、渡部金一郎氏、須田悠太郞氏が出席。防衛省からも3名 の出席があったが、氏名・役職も明らかにせず、発言もなかった。 ★国会議員は、井上哲士・参議院議員(共産)、伊波洋一・参議院議員(沖縄の風)、高良鉄美・ 参議院議員(沖縄の風)、阿部知子・衆議院議員(立憲)、福島瑞穂・参議院議員(社民)、大石 晃子・衆議院議員(れいわ)(発言順)が出席された。オンライン参加者を含め100名を超え る参加があった。 ★事前に質問事項(※)を渡してあったが、ひとことでいえば「ゼロ回答」であった。 ※ http://juyotochi-haian.org/wp-content/uploads/2022/11/hearing_question_20221127.pdf ★パブリックコメントに関しては、e-GOVに載せた「結果公示」以外は頑なに何も答え ようとしない。e-GOVに載せたのは「異なる意見までも雑にくくって、回答とはいえな い回答をし、結局は全ての意見を無視する」というシロモノである。その一方、「同様に(パ ブコメ意見が)一切反映されなかったケースが他にあれば、具体的に示されたい」との市民 側からの事前質問に対しては、e-GOVから多くの“無視”事例を拾い出して並べ立てた。 2,760 件も寄せられたパブリックコメントが基本方針に一切反映されなかったことと合わせ、 この対応で「パブリックコメントなんて所詮『聞きおく』だけ」という市民無視、民主的手 続き無視の姿勢を露わにした。 ★注視区域・特別注視区域に関する関係地方公共団体からの意見聴取については、聴取内容 を「注視区域・特別注視区域の地理的情報」に限局し、「区域指定は道路や水路などを外縁 としたいと考えているので、その外縁性(道路や水路)や、町・字の情報、開発計画の状況」 であるという回答であった。「意見を聴取する」を「情報提供を求める」にすり変えている。 仮に地方公共団体から指定そのものに消極的な意見が出たとしても、「安全保障に関しては、 国が判断・実施する」として実質的には考慮しない、無視する考えであることが明らかにな った。 2021 年の法案審議中の担当大臣の答弁「本法案に基づく措置を実施するに当たり、地域住 民に身近な地方公共団体の理解、協力を得ていくことは重要なことだと考えております。こ のため、区域指定を行う前には、十分な時間的余裕を持って、関係する地方公共団体としっ かり意見交換を行っていく考えであります」とは全く異なる見解を押し通し、国会の附帯決 議の趣旨もねじ曲げるという、信じ難い姿勢である。 ★全体スケジュールに関しても、一切、回答がない。区域指定される可能性のある地域に暮 らす住民、そうした地域を抱える自治体は「ヘビの生殺し」状態に置かれることになる。 ★「国が判断・実施する」際に「有識者のご意見を伺いました、独断ではありません」と いう言い訳(盾)に使おうとしている土地利用状況審議委員会は、「原則公開」を謳いなが ら、「会長の判断」として例外規定を多用し、実質的には密室審議の場となっている。この ことの改善の要望に対しても「会長の判断」を繰り返すのみ。つまりは、政府サイドで全 てを決める、市民の知る権利、民主的コントロールなど顧慮しない、という姿勢がここで も露わであった。 ★何が「機能阻害行為」なのかわからない、というのは、この法律の悪質さの極みともいえ る部分であるが、58 ヵ所の区域指定候補を挙げてもなお、何が「機能阻害行為」に当たるの かを、少しでもわかるようにするという姿勢はみられない。「罰則を課すのは、勧告をした あと、勧告・命令に従わない場合である。勧告の段階で『行為』を特定するから、罪刑法定 主義を逸脱していない」という。屁理屈以下である。 * * * * * このヒアリング以前に4回のヒアリングを重ねてきたが、今回が一番、頑なで酷い内容で あった。市民の意見は無視する、地方公共団体の意見は聴かない(情報提供を求めるのみ)、 国会での大臣答弁も、附帯決議の趣旨も歪曲して無視する。 黙っていれば、土地規制法は、こういう姿勢(内閣の恣意と強権)で運用されるのだ、と いうことを露わにした。 土地規制法は、露骨に戦争準備を重ねる現政権の下で、軍事優先の論理で人権を踏みつぶ していこうとする動きの要の一つである。 今回のヒアリングに表れた政府の姿勢を広く知って頂き、国会議員の方々、報道関係者、 広汎な市民の皆さんが、悪法・土地規制法の暴走を食い止めて行く行動をともにしていくこ とを強く訴えたい。 2022 年11月18日 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック 土地規制法を廃止にする全国自治体議員団 土地規制法廃止アクション事務局 ---------------------------------------------------------------------------------